少子高齢化が加速し、2030年には 日本の総人口のうち、約20%にあたる約2,300万人が後期高齢者(75歳以上)になる。まさに超高齢社会は目の前の現実 となった。(参考:令和4年版高齢社会白書(内閣府))

さらに地方では、人口減少に加えて自家用車での移動が主たる移動手段となっている。そのため、電車やバスの利用者が急減して、大切な公共交通インフラの維持・継続がさらに困難となり、減便から路線廃止への動きもやむなしという状況が広がってきた。

長岡市も例外ではない。特に中山間地域では、バス路線の縮小によって、日常生活に必要な移動手段を確保できない「交通弱者」が増加している。そこで取り組んでいるのが、デマンド型乗合タクシー(※)の導入だ。

今回は各地域に試験的に導入しているデマンド型乗合タクシーを紹介しよう。

 ※予約した人を順番に乗せて目的地へ向かう乗り合いタクシー。予約が無い場合は運行しない。

 

令和3年10月1日「寺泊まりん号」実証運行開始
寺泊保育園の園児15人と寺泊イメージキャラクターの「まりんちゃん」がお見送り

 

■ 和島・寺泊地域の試行


昨年10月、和島地域でデマンド型乗合タクシーの本格運行が、寺泊地域では実証運行がスタートした。

和島地域では、和島全域と与板の2地点(よいたコミュニティセンター、与板仲町バス停)を入れたエリアで、わし麻呂号を運行。寺泊地域は、寺泊全域と分水の2地点(コメリ分水店、小川薬局前)を対象エリアとして、寺泊まりん号の運行を始めた。
両地域とも、予約者の玄関前から目的地まで、ドアtoドアで乗客を運んでくれる。

運行事業を進めていく中で見えてきた課題は──

 〇寺泊の稼働率は高く、満車で乗車できない人も出るほど好調だが、和島は稼働率が低い。
 〇運行は同じ事業者が行っているが、エリアが異なるので、和島の空便を寺泊に回すことができないなど効率が悪い。


利用者数と稼働率(R3.10月~R4.4月)※( )内は1便あたりの利用者数
  和島    351人 (1.72人)     44.54%
  寺泊  1,197人 (3.09人)    94.39%


そこで、寺泊地域の本格運行開始に合わせて、和島と寺泊の事業を統合・リビルドして、今月1日から事業をスタートさせたところだ。その結果、

・利用者は寺泊・和島間の行き来が可能となり、さらに分水と与板にも行けるようになった。
・運行エリアの拡大に伴い、運行時間を1便80分に延長した。1日5便、週に3日運行に拡大。
・同じ地域内なら料金は200円、別の地域に行くなら400円から800円と断然お得になった。

事業者側の運営効率もずっと良くなった。効率的に車を活用できるようになり、契約などの事務量も大幅に軽減されたからだ。

わし麻呂号の乗車風景

スタートしてから2週間が経過し、稼働率は平均で85%と大変順調な滑り出しだ。今後も多くの方からご利用いただけたらと思う。

 

寺泊まりん号・わし麻呂号のチラシ

 

■ 地域の実情に合わせた生活交通の確保


栃尾地域では、中心部と山間部を結ぶ路線バスが相次いで廃止されたことをきっかけに、令和元年度からデマンド型乗合タクシー
景虎号の実証運行に取り組み、昨年4月から本格運行を始めた。景虎号は、利用者が決められた停留所間を乗降するシステムだ。

1日最大6便。停留所にはスーパーや病院、郵便局など日々利用する場所が含まれていて、利便性が高い。多くの方が買い物や通院などで利用し、昨年度1年間の利用者数は4,481人、1便あたり利用者数は2.53人、稼働率は81%と大変好調で、軌道に乗ってきた。

 

 

景虎号の運行経路

 

車よりもバスや電車のほうが環境にやさしいと理解はしていても、私たちは車での移動が常になってしまう。その結果、公共交通の利用者は少なくなる一方で、路線の維持が困難になる。もっとバスや電車を利用して公共交通を守っていきたいものだと思う。しかし、現実の問題として、すでにバス路線のなくなった地域の交通対策は急務だ。

長岡市はこれからも、地域の実情に合わせた生活交通の確保に努めていく。だれもが移動に困らず、生き生きと元気に暮らせる地域共生社会を実現をめざして。

 


   関  連  記  事 :
 人面橋 与板地域にみる コミュニティ活動の未来

              
 タイトル画像:
  栃尾地域のデマンド型乗合タクシー「景虎号」