長岡市ではこのところ、長岡北スマート流通産業団地などへの企業進出が続いている。首都圏企業のサテライトオフィスが開設され、 中心市街地で コワーキングの民間拠点も次々に誕生している。

 イノベーションの推進によって産業の拠点性を高め、働く場を増やしていこうという政策の成果が着実に表れてきているのを感ずる。今回はそうした最近の動きを紹介したい。

 

 

(株)アスマークのサテライトオフィスを視察。社員3人と意見交換。他市から長岡に移住した人もいる

■ サテライトオフィス開設、続々と

長岡市は、「地方分散」をこれから必要とされる流れであると捉え、いち早く(令和2年度から)首都圏など企業のサテライトオフィス誘致に力を入れてきた。オフィスの開設にあたり、市独自の補助制度を設け、積極的なプロモートを進めてきた。

 

 

 

 


長岡市サテライトオフィス等開設促進事業補助金
 ・概  要:市外企業が市内にサテライトオフィスを開設する際の初期費用
や雇用費を補助する
 ・対 象 者:本社機能の一部を市内に移転する企業又は市内の大学・高専と連携して事業を行う企業
 ・補 助 額:最大500万円

テレワーク対応型オフィスリノベーション補助金
 ・概  要:テレワーク対応のオフィス
として賃貸用に改修する経費を補助する
 ・対 象 者:市内に賃貸用のオフィス物件を持つ不動産オーナー
 ・補 助 額:最大300万円

 

 これまでの成果として、ITやマーケティング企業など、現在9社が長岡市に進出している。

 

名 称

業 種

本 社

設置先

設置年月

㈱ジョイゾー

IT

東京都

宮内1

R3.3

㈱Verve

IT

東京都

台町1

R3.3

㈱USEN-NEXT HOLDINGS

ITほか

東京都

東坂之上町2

R3.8

㈱東急エージェンシー

広告

東京都

城内町2、上富岡町

R3.9

㈱IKASAS DESIGN

デザイン

神奈川県

喜多町

R3.10

フラー㈱

IT

千葉県、新潟市

大手通2

R3.11

㈱アスマーク

マーケティング

東京都

今朝白1

R4.12

㈱イーグロース

IT

東京都

城内町3

R5.1

㈱コラボスタイル

IT

愛知県

福住1

R4.11

 

上記の企業のうち、7社(②~④、⑥~⑨)が長岡駅周辺に進出、すでに民間のコワーキングスペース3施設(過去のブログ参照)もあり、日本初のイノベーション地区を目指す長岡として、多様な企業や人材が集う環境が順調に整ってきたと思っている。

長岡駅前のイノベーション地区エリアに進出した7社のサテライトオフィスの位置図

 

 

9月28日(水)カナカン(株)新潟支店長岡物流センターが完成。同社は金沢市に本社のある食料・食料卸売業で、同社としては初の自動倉庫システム導入の物流センター

■ 企業誘致さらなる展開へ

令和2年度から分譲を進めてきた長岡北スマート流通産業団地(タイトル画像)は、21社の進出が決定。現在、5社が稼働を開始し、3社が着工中だ。この産業団地による経済効果は、

  ・設備投資額 約213億円
  ・売上額   約250億円(年額)
  ・雇用人数    約1,000人(うち新規雇用約350人)

を見込んでいる。

 
また、西部丘陵東地区への企業誘致は、平成27(2015)年のヨネックス(株)に始まり、これまでに(株)長岡火力発電所など3社が進出し、残りの1区画も交渉相談中で、こちらも大変好調だ。

加えてこの地区では、今年9月、英国シェルの日本法人シェルジャパン()長岡火力発電所を取得し、長岡を拠点に再生可能なエネルギー事業を本格展開していく方針をアナウンスした。これを受け、市でもメガソーラー設置に係る用地の紹介・提供や、市内企業とのマッチング促進など、シェル社の脱炭素の事業展開を支援する方針だ。

 

今まで進めてきた北スマート流通産業団地、西部丘陵東地区の分譲がほぼ完了した。そこで次なる展開として、中之島見附ICの近隣に新たな流通産業団地の整備を予定している。

さらに、今年8月、経済産業省が公募した「データセンター事業実施可能性調査」に、長岡市が採択された(全国10自治体)。これは、国のデジタル田園都市国家構想の成長戦略の柱となるデータセンターを、地方に拠点を設けて整備していこうというもの。長岡は、日本海側のデータセンターの一大拠点となることが期待されており、すでに候補地を決めて調査をスタートしたところだ。

 

長岡におけるサテライトオフィスを含めた企業誘致が好調な背景には、①首都圏からの立地(新幹線で90分・高速道路で2時間30分)、②4大学1高専の優れた人材、③ものづくり企業の集積、といったものがあるが、なんといっても長岡版イノベーション」が広く認知されてきたことの成果に他ならないと考えている。

 

いよいよ来年7月に、人材育成と産業振興の拠点「米百俵プレイス ミライエ長岡」が先行オープンを迎える。産学官金が連携を究め、若者らの起業・創業や産業ビジネスを支援していきながら、多様な人材が集い、楽しみながらも刺激を受け続けるダイナミックでオープンな交流、イノベーションが次々に生まれる場を創っていこう。

今後も長岡の強みを活かし、企業誘致による雇用拡大が産むU・Iターンを促し、地域経済の活性化と定住人口の増加につなげていきたい。

 


   関  連  記  事 :
 長岡ワークモデル 危機、暮らし、選ばれるまち 長岡へようこそ!

               
 タイトル画像:
  北スマート流通産業団地